昇段・試合に役立つ日本剣道形(小太刀)の動画つき解説

昇段・試合に役立つ日本剣道形(小太刀)の動画つき解説 日本剣道形

日本剣道形には太刀の形七本に加え、「小太刀の形」三本が含まれています。

段位審査をきっかけに小太刀の形を習われる人が多いかと思いますが、普段行っている剣道の動作とのあまりの違いに、戸惑うこともあるのではないでしょうか。

しかし、この小太刀の形にこそ、日本剣道形の精髄、つまりは最も大切なことの1つが隠されているという人もいるほど重要なものなのです。

ここでは、小太刀の形三本について確認するとともに、その効用や剣道における意味合いを考えてみたいと思います。それを知ることで、昇段審査はもちろん、試合にも活きてきます。

小太刀の形一本目のポイント

打太刀は諸手左上段、仕太刀は半身の姿勢になって片手で小太刀を握る「中段半身の構え」をとります。このとき、仕太刀は剣先をやや高く、打太刀の顔に向けます。

双方三歩進んだところで、仕太刀が「入り身」しようとするため、打太刀は「ヤー」の掛け声とともに真っ向に切り下ろします。

仕太刀は小太刀を頭上に上げ、表鎬で受け流しながら右斜め前に体をさばき、「トー」の掛け声とともに打太刀の面を打ちます。

仕太刀は左足から引いて片手で上段に構え、残心。お互いに中段に合わせて元の位置に戻り、形を終えます。

こちらの動画も参考になります。

小太刀の形二本目のポイント

打太刀は下段、仕太刀は中段半身に構えます。仕太刀の剣先は通常の高さであり、一本目に比べて低くなります。

双方三歩進んで間合いに入るや、打太刀が剣先を中段に上げてきます。

仕太刀はこれを抑える心積もりで、打太刀の剣先が中段に上がったとき入り身の体勢になることを試みます。

打太刀は入り身されまいとして右足を引いて脇構えをとり、止まることなく振り返して右足を出し、「ヤー」の掛け声とともに仕太刀の真っ向を切り下ろします。

仕太刀は左足から左斜め前に体さばきしつつ、小太刀を頭上に上げて裏鎬で受け流し、「トー」の掛け声とともに打太刀の面を打ちます。

仕太刀は打太刀の腕を上から左手で押さえ、小太刀を右腰にとって剣先で喉を狙い残心。お互いに中段に合わせて元の位置に戻り、形を終えます。

こちらの解説もためになります。

小太刀の形三本目のポイント

打太刀は中段、仕太刀は「下段半身の構え」で双方三歩進みます。

間合いに入るや、仕太刀が入り身しようとするので打太刀は上段に振りかぶり、「ヤー」の掛け声とともに正面に切り下ろします。

仕太刀はその打ちをすり上げ、すぐさま打太刀の右側にすり落とします。

打太刀はすり落とされた勢いを利用するように即座に刀を振り返し、左足を出して右胴を切ります。

仕太刀は左足から左斜め前に進んで体を右に開き、小太刀で胴切りを右方向にすり流します。すぐさま「トー」の掛け声とともに打太刀の鍔元まで表鎬ですり込み、密着して打太刀の二の腕を押さえます。

仕太刀は打太刀が下がるのに合わせてそのままニ・三歩追い込み、小太刀を右腰にとって剣先で喉を狙い残心。お互いに中段に合わせて元の位置に戻り、形を終えます。

こちらの動画も参考になります。

小太刀の一本目から三本目までを通した動画

小太刀のまとめとして一本目から三本目までを通しで見られる動画も掲載します。

小太刀の形に込められた意味とは

剣道では小太刀のようなサイズの竹刀を使うことは二刀を除いてまずないため、なぜ日本剣道形に小太刀の形があるのか不思議に思う人も多いようです。

しかし、歴史的な背景を考えてみるとかつて武士は大小二本の刀で武装しており、大太刀の技に加えて小太刀の技に習熟することは必須だったのです。

剣道形は「剣」にまつわる文化史的な側面を保存する意味合いもあり、なおかつ小太刀という短い得物(えもの)を通じて剣技の深奥に触れることを目指すものでもあります。

竹刀での応用について

小太刀の形を稽古してみると、その難易度の高さに驚かされます。

たいていの剣士は短い竹刀を使うことはまずありませんが、形に含まれる高度な体さばきや鎬(しのぎ)の使い方などは、習熟すれば現代剣道にも十分応用が可能です。

精妙な剣の操作に熟達するという意味でも、現代剣道にとっても大いに修練すべきといえるでしょう。

お手本となる日本剣道形の小太刀(一本目から三本目)

こちらは全日本剣道選手権大会の公開演武の映像で、小太刀の一本目の開始直前から再生されるようにしています。

まとめ

日本剣道形・小太刀の形は、技や動作の難易度が高いため、初めはゆっくりと行って怪我をしないように注意する必要があります。

単にかたちだけを追うのに終始するのではなく、迫真の真剣勝負のつもりで稽古をすると形の動きの意味が分かってくるようになります。

リーチで不利と思われる小太刀という得物で闘うことで、体さばきや胆力を練り上げる効果も得られます。

段位審査の直前だけではなく、ぜひとも普段から稽古しておきたいものです。


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