霞の構え、金剛の構え、五行の構えの応用で剣道の試合を制する

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霞の構え、金剛の構え、五行の構えの応用で剣道の試合を制する

剣道における構えを想像したとき、未経験の方でも真っ先に思い浮かべるのは「中段」ではないでしょうか。

両手で柄を握り、ほぼ正対して剣先を相手に向けるという構えが中段です。実は中段の構えというのは剣を扱う武技としては世界的に見ても非常に珍しいスタイルであるとされています。

剣道もその源流である「剣術」の時代にはとても多くの構えがあり、現代ではほとんど見られないものの脈々とその教えは伝わっています。

今回は、そんな剣道の知られざる「構え」についてのお話です。

剣道でも使われる変わった構え

現代剣道で中段の構えが圧倒的多数を占めているのは、それが現行のルールにおいての試合でもっとも使い勝手がよいためだと考えることも可能です。

しかし、本来の真剣勝負では一撃のもつ重みが竹刀とは異なり、文字通りの命取りとなったため、数多くの構えが工夫研鑽されてきたのです。

そんな古流剣術の息吹を感じさせる構えも、現代の試合で有効に使う方法があります。

事例としては決して多くはないものの、教養として知っておくことでいざというときに戦術の幅が大きく広がることとなるでしょう。

以下に現代剣道でも使われる、あるいは参考となる特殊な構えについて解説します。

霞の構え

特殊な構えのなかでも比較的よく知られているのが「霞の構え」です。

ごく大まかに言うと、中段から剣先を向かって右に開いたものが「平清眼」、逆方向の左側に開いたものを「霞」とすることが一般的です。

霞の構えでは右足ではなく左足を前に出すこともあり、通常の中段とはずいぶんと雰囲気の異なるフォームとなります。

現代剣道では対上段用にこの構えを使う選手がおり、霞では剣先で相手上段の右小手に狙いをつけるのがセオリーです。

攻める側からすれば霞は非常に防御の堅い構えであり、とても打ちにくい状態となることが知られています。

試合では霞から平清眼へとシフトしながら、上段の構えを翻弄するように攻めていくという使い方もされています。

金剛の構え

「金剛の構え」とは聞きなれないかもしれませんが、竹刀を体の正中線に真っ直ぐ立てた構えのことをいいます。

右肩にかつぐ「八相」、左肩にかつぐ「逆八相」、そしてその中心に位置させる「金剛」と理解することもできます。

金剛とはダイヤモンドのことでもあり、その語感のとおりにやはり防御の堅い構えです。

また、そのまままっすぐ振り下ろすと直接攻撃が可能なため、攻防一体の鋭さも兼ね備えているといえるでしょう。

対上段の試合運びの中で使ったり、あるいは特殊な事例ですが対「二刀」の戦術として採り入れている剣士もいます。

下段の構え

五行の構えのうち「土」の属性に配されるのが「下段の構え」です。

終始この構えで闘うことはまずありませんが、攻め合いの中で下段にとり、体攻めと気攻めで下からプレッシャーを与えて相手を崩すという使い方をする選手もいます。

技としては攻めて下段から跳ね上がるような突き、あるいは剣先が床に着くほどに下げて攻めながらの「地擦り面」などが古い技として伝わっています。

八相の構え・脇構え

日本剣道形には見られるものの、現代剣道の試合ではまず使われることのないのが「八相の構え」と「脇構え」です。

それぞれ五行では「木」と「金」に配され、「陰」と「陽」とも呼ばれます。

真剣による斬り合いにおいて真の威力を発揮する構えとされており、竹刀での試合には適しませんが「もし本物の刀だったら」という緊迫した心構えを学べるものです。

上段の構えのバリエーション

現代剣道でも特に長身の選手が好んで使用する傾向にあるのが「上段の構え」です。

文字通り竹刀を頭上に上げた構えですが、正対・左半身・左片手・右片手・右手前等々、多くのバリエーションが存在します。

もっとも一般的なのは左足を前に出して左半身になる「諸手左上段」で、リーチに優れた高速の片手打ちで一撃必中を狙うのが身上です。

火の構え以外にも「天の位」という呼び方もされ、気魄を込めた堂々とした闘いぶりが求められます。

中段の構えのバリエーション

中段は五行でいえば「水」にあたり、「水は方円の器にしたがう」というように状況に応じて千変万化し、攻守一体となった構えです。

中段の別名を「正眼」ともいいますが、剣先を相手の眉間・喉・水月・臍・左目のいずれかにつけて構えることから「五正眼」という分類が知られています。

中段の強みはそのまま面にも小手にも、または突きにも攻撃を仕掛けることができ、そればかりか相手の攻撃にもすぐさま対処できるというメリットがあります。

上にも下にも偏らない、最強の構えであるとする説もありますが、戦局に応じた柔軟な変化も大きな持ち味となっています。

まとめ

古流剣術の動きを見てみると、形の途中の動きのなかで目まぐるしく構えを変化させている場合があります。

これはその時々の状況に合わせて戦術を最適化させているためであり、現代剣道でも攻め合いの過程では自然とこれに近いことを行っているといえるでしょう。

一見不可思議にも感じられる特殊な構えの数々ですが、戦況を打破したり新たな攻め口を見出したりといった場合に有効な手段となり得ます。

そんなさまざまな構えを、日々の稽古で研究してみてはいかがでしょうか。

ここでお伝えした構え以外にもまだたくさんの構えがあります。かぶるところもありますが、こちらでも構えについてまとめていますので、参考にしてみてください。

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