剣道の構えといえば、「中段」「上段」「下段」「脇」「八相」というのが基本的な5つの構えとしてよく知られています。それぞれの構えの詳細はこちら。
ですが、剣道の構えには実際にはもっと多くの種類があります。日本剣道形が定められた背景は200とも言われる流派を1つに統一して体系立てることでした。ですから、それだけたくさんの「剣道」があったわけで、構え1つにしても数多くの種類があったものと思います。
全ての剣道の流派を知ることは現実的ではありませんから、ここでは笹森順造の「剣道」をもとに、大きく11、細かく分けて23の構えをご紹介します。なお、「剣道」では基本となる構えは「中段の構え」「下段の構え」「上段の構え」「陰の構え」「陽の構え」としています。
- 中段の構え※
- 中段の構え(晴眼)
- 中段の構え(青眼)
- 中段の構え(正眼)
- 中段の構え(星眼)
- 中段の構え(臍眼)
-
上段の構え
- 諸手右上段の構え
- 諸手左上段の構え
- 片手右上段の構え
- 片手左上段の構え
- 上段鳥居の構え
- 下段の構え
- 陽の構え
- 陰の構え
- 金剛の構え
- 霞の構え
- 中段霞の構え
- 上段霞の構え
- 下段霞の構え
- 脇構え
- 本覚(ほんがく)の構え
- 本覚の構え(順)
- 本覚の構え(逆)
- 真剣の構え
- 八相の構え
- 八相の構え
- 左八相の構え
こうした構えがあるということが分かれば、壁にぶつかっていたときなどの突破口となる何かしらのヒントが得られることもあると思います。
※笹森順造の「剣道」では、中段の構えは「正眼」「晴眼」「星眼」ともいい、中段の構えの範疇に「大正眼」「中正眼」「真剣」などもあるとしています(P47)
中段の構え
中段の構えが一般的な構えになると思いますが、細かくわけるといくつか種類があります。最も自然で攻めるにも守るにも有利な構えです。前後左右、上下とどこにでも簡単に変化することもできます。
中段の構えはこちらに解説があるので、詳細はこちらを。
基本となる剣道の構えの種類はこれが重要ポイント(動画あり) | 剣道、上達への道
剣道では「中段の構え」が基本とされており、ほとんどの人がこの構えをとって稽古を行っています。しかし、日本剣道形にはこの中段を含んだ「五行の構え」と呼ばれる五種類の構えが示されています。普段の剣道の稽古ではまず使用することのない構えもありますが、いずれも剣の理法の精髄を表したものであり、その意味と効果を正しく理解すること
剣先の向き先によって、「晴眼」「青眼」「正眼」「星眼」「臍眼」といったように5つに分ける考えもあります。
上段の構え
「諸手右上段の構え」「諸手左上段の構え」「片手右上段の構え」「片手左上段の構え」「上段鳥居の構え」の5つ。「上段鳥居の構え」は右手で柄をとって左手で峰(棟)の部分(竹刀の弦が貼ってある側)を支えるような形で、竹刀を頭上に横一直線にして構えます。
上段は攻撃の構えと言え、技は上から下にきますから、天生(てんしょう)の構えとも言われます。
上段の構えも詳しくはこちらをどうぞ。
基本となる剣道の構えの種類はこれが重要ポイント(動画あり) | 剣道、上達への道
剣道では「中段の構え」が基本とされており、ほとんどの人がこの構えをとって稽古を行っています。しかし、日本剣道形にはこの中段を含んだ「五行の構え」と呼ばれる五種類の構えが示されています。普段の剣道の稽古ではまず使用することのない構えもありますが、いずれも剣の理法の精髄を表したものであり、その意味と効果を正しく理解すること
下段の構え
下段の構えは下から上に技を出すことから「地生(ちしょう)の構え」とも言われます。
下段の構えも詳細はこちらをどうぞ。
基本となる剣道の構えの種類はこれが重要ポイント(動画あり) | 剣道、上達への道
剣道では「中段の構え」が基本とされており、ほとんどの人がこの構えをとって稽古を行っています。しかし、日本剣道形にはこの中段を含んだ「五行の構え」と呼ばれる五種類の構えが示されています。普段の剣道の稽古ではまず使用することのない構えもありますが、いずれも剣の理法の精髄を表したものであり、その意味と効果を正しく理解すること
陰の構え
陰の構えの名前の由来はこちらのとおりです。
人は北に立って南に向かい、旭日の出る方は左で太陽のかげは右である。ゆえに右脇にしないを立てた構えを陰の構えと呼び、左の方に構えたのを陽の構えと呼ぶ。またすべて心と技の蔵せられた方を陰という。
笹森順造「剣道」(旺文社、1955年)P49より
左足を前にして竹刀を右斜め前に垂直に立て、左手で柄頭を握ります。左の前腕は水平になるようにします。相手の技を右から左に払います。
陽の構え
中段のしないを左斜め前に垂直に立てて左前腕を水平にします。足は陰の構えとは反対に右足が前になります。相手の技は陰の構えとは逆に左から右に払います。
金剛の構え
陽の構えの竹刀を体の真ん中に持ってきて中心線に合わせた構えです。
金剛山が大地に直立して確固不動なもののように、この構えをもってすれば、相手のあらゆる技はこのしないによって防がれ、おのれが身はそのかげに守られて安泰であり、また相手はわがしないのもとに自由に打突をかけられ、われにとっては必勝不敗の構えなのである。
笹森順造「剣道」(旺文社、1955年)P50より
霞の構え
霞の構えは、「中段霞の構え」「上段霞の構え」「下段霞の構え」と3種類あります。
霞の構えは竹刀を霞のように使って、相手になにがあるのか読まれないような形にしてあらゆる変化の技を出すというのが基本です。「霞」という名前のとおりのイメージをもって構えると考えていいと思います。
中段霞の構えは陰の構えから切先を下げて相手の眉間につけます。下段霞は中段霞の構えから切先を水平より少し下げます。
脇構え
他の構えと違って剣先が後方に向かいますから、自分の体が竹刀よりも前に出る形になり危険な構えになります。考えとしては左肩を相手に差し出して囮のようにするイメージです。それに釣られててきた相手の技をさばいて攻撃に転じる構えと言えます。
脇構えはこちらにも解説がありますので合わせてどうぞ。
基本となる剣道の構えの種類はこれが重要ポイント(動画あり) | 剣道、上達への道
剣道では「中段の構え」が基本とされており、ほとんどの人がこの構えをとって稽古を行っています。しかし、日本剣道形にはこの中段を含んだ「五行の構え」と呼ばれる五種類の構えが示されています。普段の剣道の稽古ではまず使用することのない構えもありますが、いずれも剣の理法の精髄を表したものであり、その意味と効果を正しく理解すること
本覚の構え
順と逆の2つあります。順の本覚の構えは、中段から両手を引いて肘を張って剣先と柄頭を水平にします。つまり、相手からは竹刀が「点」に見えるようなります。その意味するところは以下の解説があります。
一切の構えを一点に納め、万理を一点に帰し、その本を覚って万方に転化する構えである。
笹森順造「剣道」(旺文社、1955年)P51より
足の左右が入れ替わったのが逆の本覚の構えになります。
真剣の構え
中段の構えから両手を前に真っ直ぐ伸ばして、切先を相手の眉間に向けます。
八相の構え
陰の構えを変化させた構え。竹刀は垂直でなく、45度ほど傾けます。反対に陽の構えの体勢での八相の構えを「左八相の構え」と言います。
八相の構えはこちらにも解説がありますので合わせてどうぞ。
基本となる剣道の構えの種類はこれが重要ポイント(動画あり) | 剣道、上達への道
剣道では「中段の構え」が基本とされており、ほとんどの人がこの構えをとって稽古を行っています。しかし、日本剣道形にはこの中段を含んだ「五行の構え」と呼ばれる五種類の構えが示されています。普段の剣道の稽古ではまず使用することのない構えもありますが、いずれも剣の理法の精髄を表したものであり、その意味と効果を正しく理解すること
まとめ
ということで、大きく次の11種類。
- 中段の構え
- 上段の構え
- 下段の構え
- 陰の構え
- 陽の構え
- 金剛の構え
- 霞の構え
- 脇構え
- 本覚(ほんがく)の構え
- 真剣の構え
- 八相の構え
そして、より細かく見ていくと以下の23種類ということになります。
- 中段の構え(晴眼)
- 中段の構え(青眼)
- 中段の構え(正眼)
- 中段の構え(星眼)
- 中段の構え(臍眼)
- 上段の構え
- 下段の構え
- 陰の構え
- 陽の構え
- 金剛の構え
- 中段霞の構え
- 上段霞の構え
- 下段霞の構え
- 脇構え
- 本覚の構え(順)
- 本覚の構え(逆)
- 真剣の構え
- 八相の構え
- 左八相の構え
数を追い求めても意味はありませんが、こうした構えがあってそれぞれに考えがあるということを知ることが自分の剣道の状態に役立たせることにつながるものと思います。
基本となる5つの構え(中段、上段、下段、八相、脇)はこちらです。
基本となる剣道の構えの種類はこれが重要ポイント(動画あり) | 剣道、上達への道
剣道では「中段の構え」が基本とされており、ほとんどの人がこの構えをとって稽古を行っています。しかし、日本剣道形にはこの中段を含んだ「五行の構え」と呼ばれる五種類の構えが示されています。普段の剣道の稽古ではまず使用することのない構えもありますが、いずれも剣の理法の精髄を表したものであり、その意味と効果を正しく理解すること
さまざまな構えについての理解を深めるのもいいことですが、もっと直接的に剣道をレベルアップさせたいということであれば、こちらの記事もオススメです。
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