剣道の面打ちを素早く正確にする方法

剣道の面打ちを素早く正確にする方法 技術

剣道の基本であり、迷いなく真っ直ぐに打ち込むことから剣道の精神を象徴する技ともいえる「面打ち」。

一本となる部位のなかで自分から最も遠く、感覚器官が集中する首から上であるため回避も防御も鋭敏に行うことができることから、最も打つのが難しい箇所ともされています。

しかも、剣道では高速で互いに打突を繰り出すため、いかに相手より早く正確に相手の部位に向けて打ち込めるかが重要な課題となります。

ここでは、面打ちを素早く正確に行うためのポイントについてお知らせします。

そもそも、面がなかなかうまく決まらないならこちらをどうぞ。

剣道で面の打ち方がうまくいかない? それならこのポイントを意識するといい

面打ちの素早さとは、スピード×タイミング

最初に、面打ちにとっての「素早さ」について考えてみたいと思います。

単純に物理的なスピードを追求するのであれば、筋力や瞬発力をアップさせるトレーニングが有効です。陸上の短距離走や、その他の道具を使うスポーツの練習法も参考にできるでしょう。

しかし、剣道における打突の素早さとは、相手との打ち合いや駆け引きのなかで相対的に変化するものであり、自身のスピードを向上させるのと同時に「タイミング」をうまく利用する工夫が必須となります。

剣道ではこれを「機を捉える」といった言い方で表わしており、つまり相手の隙や打突のチャンスを確実に狙うことを意味します。

こうした機会に躊躇なく攻撃できることを「素早い」というのです。どんなに動きが早くても、相手に当たらなかったり防御されてしまったりしては意味がありません。

このようなことを念頭に置いた上で、素早く面を打つための技術的なポイントについてみてみましょう。

まずは「足さばき」を第一に

早く面を打とうと思うと、手首のスナップや腕の伸ばし方などにまず着目することが多いのではないかと思います。

もちろんそれも重要なのですが、それよりも優先したいのが「足さばき」です。

古来、剣道には「一眼二足三胆四力(いちがんにそくさんたんしりき)」という教えがあり、これは心身の優先順位を説いたものです。

観察や洞察を意味する「眼」が最初にあり、その次に「足」が挙げられています。つまり、全ての移動力を生み出す「足さばき」や「重心移動」がとても重要であることを教えているのです。

ちなみに三番目は勇気や思い切りのよさを表わす「胆」、そして最後が身体的なパワーの「力」です。これは力が四番目に大事であるという意味ではなく、決してそれが最優先ではない、という例えとして解釈されています。

つまり、相手の攻撃を自由自在にかわしつつ、チャンスと見るや一気に間合いを詰めて打ち込むことのできる「足さばき」こそが、剣道における素早さを実現する鍵となるのです。

鋭い「出足」を練り上げる

面打ちは、有効打突部位のなかでも自分から最も遠い位置にあるため、大きく間合いを詰めなくてはなりません。

好機を捉え、相手の面に届くように踏み込むためには鋭い出足を鍛えましょう。

具体的には、基本の足さばきの「踏み込み足」を丁寧に練習します。大きく、早く、遠くまで跳べるよう、例えば目標の線を床にマーキングするなどして自分の間合いを把握するのも有効です。

ただ、連続して踏み込みを続けると踵を傷めてしまう場合があるため、衝撃吸収用のサポーターを着用するなどして体の保全にも留意してください。

素早さと正確さの鍵は「左拳」

次にいわゆる「スナップ」について考えてみましょう。

鋭く強く、手首の操作を行うのは道具を使う運動ではいずれも重要ですが、剣道ではこれを「手の内」と呼んで極意の一つに数えています。

その感覚は個人によって異なるため、各自が工夫して体得しなくてはならない部分も大きいのですが、素早さと正確さを両立させるために鍵となるのは「左拳」の使い方です。

具体的には、左拳を「自分の正中線から外さず」に、「鋭く早く突き出す」ことを意識しましょう。

面打ちのスピードを上げようとして力みが生じると、必ず左右のどちらかに太刀筋や体勢が歪んでしまいます。こうなると正確に打突部位を捉えることができなくなり、チャンスを逃す可能性が高くなります。

そこで、左拳を自分の正中線に保ち、その延長線上に剣先を置くようにして狙いを定めます。そしてその左拳を早く突き出すことでスピードと正確性を両立させるのです。

「左7割、右3割」という教えがあるように、右手に力を入れすぎずに左手を中心に打つことがポイントです。

まとめ

面打ちの素早さと精度を両立させるためには、タイミング・パワー・スピードの全てがバランスよくそなえる必要があります。

したがって、無理な筋力アップや速さ比べのような稽古を積むのではなく、基本に忠実な無駄の無い動作を洗練させるのが一番の方法です。

面打ちの技は剣道のすべての技に通じる、重要なものです。

真っ直ぐ、迷い無く、思い切りよく、といった気持ちの面も大切に稽古されてください。

※面に関してはこちらもどうぞ。
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