日本剣道形五本目の解説と動画、昇段や試合に活かすための意味と応用方法

日本剣道形五本目の解説と動画、昇段や試合に活かすための意味と応用方法 日本剣道形

古流剣術に伝わる形の精髄を後世に残し、剣道の源流である真剣勝負の心と技を教えることを目的のひとつとして編まれた日本剣道形。

その動きの多くは、竹刀での打ち合いとは随分と雰囲気が異なるようですが、そのエッセンスを理解することで十分に試合にも生かすことができます。もちろん、昇段審査のときにも大いに役立ちます。

ここでは日本剣道形「五本目」の動作を解説しつつ、その意味を考えながらどのように竹刀稽古に応用すべきかについて、動画を交えながらお伝えします。

日本剣道形五本目の概要

五本目は打太刀が「諸手左上段の構え」、仕太刀が中段の変形である「平正眼の構え」から始まります。

双方三歩進んだところで、打太刀は仕太刀の正面に対して真っ向に切り下ろします。

仕太刀は打太刀の真っ向切りを左足からさがりながら表鎬(おもてしのぎ)ですり上げ、すかさず右足を踏み込んで打太刀の正面を打ちます。

仕太刀は右足を引きながらその場で諸手左上段に構えて残心。お互いに中段に合わせて元の位置へと戻り、形を終えます。

動画の解説はこちらが参考になります。よくある間違いも解説があります。なお、後半に日本剣道連盟による公開演武の動画を載せていますので、そちらも参考にしてみてください。

五本目、打太刀の動き

打太刀は左足を前にして刀を頭上にとり、刀身をやや右に傾けた「諸手左上段の構え」をとります。

三歩進んで間合いに入るや、機を見て「ヤー」の掛け声とともに仕太刀の真っ向を切り下ろします。

その攻撃は仕太刀にすり上げられるので、打太刀の刀は右側に逸れて下まで流される形をとります。なおかつ、やや前傾して仕太刀のすり上げに制せられた姿勢を示します。

仕太刀が上段に構えて残心を示すのを見届け、姿勢を元にもどしながら中段に剣先を上げていき、同じく中段に下ろしてきた仕太刀と呼吸を合わせ、元の位置へと戻り形を終えます。

五本目、仕太刀の動き

仕太刀は中段の剣先をやや右に開き、剣先の延長線上で諸手左上段に構えた打太刀の左小手を狙う「平正眼の構え」をとります。

三歩進んで打太刀を誘い込む気勢を示し、真っ向に切り下ろしてくるところを自分にとって刀の左側である「表鎬(おもてしのぎ)」ですり上げます。

この時、左足から後方への送り足で下がりながらすり上げ、すかさず右足から前方への送り足に切り替えて打太刀の正面を「トー」の掛け声とともに打ちます。

仕太刀はその場で右足を引きながら剣先を打太刀の顔面の中心につけ、そのまま左諸手上段にとって残心を示します。

左足を引いて中段に下ろし、同じく中段に上げてきた打太刀と剣先を合わせ、打太刀が小足で三歩下がるのに合わせて元の位置に戻り、形を終えます。

五本目に込められた意味とは

日本剣道形五本目は、とても短くシンプルな形ながら、現代剣道でも直接応用がきくようなシチュエーションが示されています。

これを五行の理論に当てはめると上段は「火」、中段は「水」の性質だとされており、水は火を消すことから「水剋火(すいこくか)」という関係性にあります。

つまり、五行理論においても上段には中段で対抗するのが常道的な戦法であり、日本剣道形でもこれを示しているといえます。

竹刀での応用について

五本目では、竹刀の技でも多用される「すり上げ」の極意を示しているといっても過言ではありません。

ここで学ぶべきは、正しくすり上げ技が決まったときに、いかに相手の太刀筋が大きく逸れてしまうかということです。

実際に木刀などで強く打ち込んだ場合、ほんのわずかに軌道を逸らされただけで大きく流されるのを体感することができ、すり上げ技の威力を思い知らされます。

五本目での打太刀が繰り出す、厳しい切り下ろしをいかにタイミングよく適正にすり上げられるかが、形の動きを竹刀打ちに応用するためのポイントとなります。

お手本となる日本剣道形五本目の動画

こちらは日本剣道連盟の公式動画です(公開演武)。五本目だけではなく通しの動画ですので、五本目の開始から再生されるようにしています。

まとめ

五本目は短い形ながら、上段対中段という現代剣道でもっとも起こりやすい状況を示しています。

日本剣道形はそれぞれの技ごとにテーマがあり、その深い部分を考究していくことで動作だけではない、精神的な面での修行も深まるようにつくられています。

五本目でいえば、一瞬の攻防で仕太刀がすり上げ面を決めた後の残心のとりかたにあるといえるでしょう。

下がりながらも、上段にとって前を攻めるという激しい気勢は、竹刀を用いた試合でも必要とされる心得です。


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