日本剣道形七本目の解説と動画で昇段にも試合にも活かす

日本剣道形七本目の解説と動画で昇段にも試合にも活かす 日本剣道形

日本剣道形の技は、基本的には真剣勝負で使われたものをベースとしていますが、もちろん現代剣道にも応用が可能となっています。

なかには、かつては剣道の試合でも盛んに使われたものの、現代では忘れられつつある技なども含まれており、その理合(りあい)を考え直すためにも形稽古が有効とされています。

ここでは日本剣道形「七本目」の動作を解説しつつ、その意味を考えながら昇段審査はもちろんのこと、どのように竹刀稽古に応用すべきかについてお伝えします。

日本剣道形七本目の概要

七本目は打太刀・仕太刀ともに「中段の構え」をとる「相中段」から始まります。

双方三歩進んだところで、打太刀は機を見て仕太刀の胸部を突いて攻めます。

仕太刀はそれを支え受けて小さく下がります。

打太刀は歩み足で正面を切り下ろしてくるので、仕太刀は右斜め前に移動してすれ違いざまに打太刀の胴を切ります。

仕太刀は右ひざをついて片膝立ちになり、そのまま脇構えで残心。お互いに剣先を合わせて元の位置に戻り、形を終えます。

動画の解説はこちらが参考になります。後半にお手本として日本剣道連盟が公開している高画質動画もご紹介していますので、そちらも参考にしてみてください。

七本目、打太刀の動き

打太刀は中段の構えから三歩進み、一足一刀の間合いになったところで機を見て仕太刀の胸部を突きます。

このとき、刃先をやや右下に向ける「表突き」の要領で突き、攻め込む形をとります。

仕太刀は下がりながらこの突きを支え受けるので、打太刀は右・左・右と歩を進めながら「ヤー」の掛け声とともに大きく正面に切り下ろしていきます。

打太刀は仕太刀に右胴を抜かれる形になるため、切り下ろしたところで顔を仕太刀に振り向けます。

仕太刀は片膝立ちの姿勢で脇構えにとって残心を示すので、打太刀も振り向いて中段に合わせます。

仕太刀を引き起こすようにリードしながら下がり、お互いに円を描くような足取りで元の位置に戻り、形を終えます。

七本目、仕太刀の動き

仕太刀は三歩進んで、機を見て胸を突いてくる打太刀の刀を左足から小さく下がりながら支え受けます。

このとき、打太刀は自身の右斜め下に刃先を向ける「表突き」で攻め込んでくるので、仕太刀は自身の左斜め下に刃先を向けて相手の突きに角度を合わせ、その威力を相殺します。

打太刀が右足から三歩で大きく正面に切り下ろしてくるので、仕太刀は右・左・右と右斜め前に足をさばきながら「トー」の掛け声とともにすれ違いざまに打太刀の胴を切ります。

切り抜いたときに仕太刀は軽く床に右膝をつけ、片膝立ちの姿勢になります。

打太刀が振り返ってこちらを見るのに合わせて、仕太刀はそのまま脇構えにとり、残心を示します。

お互いに中段に合わせて、打太刀の動きに合わせるように元の位置に戻り、形を終えます。

七本目に込められた意味とは

日本剣道形「太刀の形」の最後に位置する七本目は、唯一の胴切りにして難易度の高い技で構成されています。

技の後、片膝をつく姿勢に特徴があり、これは伝統的な「折り敷き」という体勢でかつては竹刀を用いた勝負でもさかんに使われたといいます。

現代ではほとんど遣い手がいなくなった技だとされていますが、姿勢を低くすることで反撃に備える実戦的な技法であり、古流剣術の風合いをよく残した形だといえます。

竹刀での応用について

七本目の技を現代剣道に当てはめると、「面抜き胴」となります。

試合でも比較的よく見られる決まり手であり、一歩攻め込んでからの攻撃に対処するというシチュエーションも現実的です。

しかし、さらに細かく見てみると、最初の打太刀の突きに対して、刃先の角度を合わせながら支え受けることや、胴を抜いた後の折り敷きの姿勢からの脇構えによる残心など、実に繊細な剣さばきが行われていることが分かります。

竹刀を用いた際にも、このように丁寧な攻防を心がけることが明暗を分けるといっても過言ではないため、七本目の教えるところをよく考えながら稽古することが肝要です。

お手本となる日本剣道形七本目の動画

こちらは日本剣道連盟による動画です。最初から最後まで通した動画ですが、七本目の開始から再生されるようにしています。

まとめ

日本剣道形七本目は、お互いの間合いが密着した状態での攻防となるため、特に緊張感が強いられる技とされています。

また、竹刀を用いた普段の稽古ではほとんど行わないような動作も入るため、初心の人にはとまどいも多いのではないかと思います。

しかし、形には意味のない動作はなく、その本来の用途や成り立ちを考えることも立派な剣道の稽古となります。

形と竹刀打ちは「車の両輪」とも形容されます。両者を真剣に稽古することで、より高い剣道の境地を目指したいものですね。


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