お互いに竹刀を用いて打突を繰り出し、指定の部位を狙いあう剣道。やみくもに打ちかかっていっても一本になることはないもの。
うまく攻めるためには、攻めの技術が必要になってきます。竹刀によって相手の防御を崩す。物理的・精神的なプレッシャーを与えて相手の体勢を崩す。または対敵の反応を起こさせて隙を作り出す。等々の手順がたくさんあって、それらをひっくるめて「攻め」と呼びます。
練習・稽古なくして上達はしませんが、それもやみくもに数だけこなしても非効率なだけです。
剣道の攻めには、パターンやセオリーというものがありますので、それをまずは知ったうえで練習・稽古をするのが早道です。
そこで、今回は剣道の攻めのパターンやセオリーについて解説したいと思います。
攻めの基本パターンとセオリー
剣道の攻めは相手の防御をくずし、打突のチャンスをつくりだすために必要なものです。
なんらかの対処をしない限りそのまま打たれてしまう、そうした相手が危険を感じる状態を作り出すのが「攻め」と言えるでしょう。
そのためにはいくつかのパターンやセオリーが剣道にはありますので、それについて取り上げます。
中心を取って攻める
基本の攻めとなるのが「中心を取る」という方法です。
相中段であれば、相手の竹刀がある位置にこちらの竹刀をすり込むようにして割って入り、正中線を制することを意味しています。
成功すればそのまま打ち込むことが可能となります。相手の防御は必ず遅れますから、一本を決められる確率が高くなります。
では、どうやって中心を取るといいのか? その方法はこちらをどうぞ。
これが剣道で中心を取る5つの方法、すぐ中心を取られてしまう剣士でもOK
剣道では、打突するためにまずは相手の「中心を取る」ことが必要とされています。相手の竹刀のある位置に割って入るような感覚で、その正中線における主導権を握ることと言い換えてもよいでしょう。しかし、初心のうちはなかなかその感覚が分からないもの。せっかく中心を取ったと思ってもすぐに取り返されてしまう。あるいは攻める間もなくこち
打って攻める
相手の防御を崩すという意味では、確実な方法と言えるのが打ち込みによる攻めです。
二・三段の技も初撃でけん制して二撃目、あるいは三撃目で一本を決めるというもので、どこか一箇所を防御すれば必ずほかの部位に隙ができるというセオリーを利用しています。
小手・面や小手・胴、小手・面・面などが代表的な技で、特に攻撃的な攻めの方法です。
そうした連続技に関して詳しくはこちらをどうぞ。
剣道の連続技のパターンは実にさまざまな種類がありますが、そのなかでもよく見られる、または有効なパターンに関してお伝えします。剣道では、こちらから能動的に仕掛ける技を「仕掛け技」と分類しています。そんな仕掛け技の中でも、素早い竹刀さばきで剣道らしい特徴を感じさせるのが「二・三段の技」です。複数の打突を組み合わせた連続攻撃
突いて攻める
中段構えの特性を遺憾なく発揮するのが、突きによる攻めです。
中段の怖さは本来、予備動作なしでそのまま突きを放つことができる点にあるという人もいます。
剣先が相手の侵入を阻んでいるため、そこからさらに発展させて「突き崩す」という攻め方があることを覚えておきましょう。
ただし、安易に多用すると動きを読まれて反撃を受ける可能性もあるため、注意が必要です。
体攻め
竹刀による技巧的な攻めだけではなく、体全体を使って迫るような圧をかけることも攻めになります。
相手が「何か攻撃される」と瞬間的に警戒するような、鋭く的確な間合いの詰め方がそのまま攻めになります。
間合いの詰め方に関してもっと知りたい場合はこちを参考にしてください。
どうも間合いの取り方が分からない、どうやって間合いを詰めていったらいいかわからなくなっきた……。他にも、身長差があって自分とは間合いが明らかに違うだろうと思える相手や、よく動く相手との間合いの取り方が難しいとか、逆に相手が動かなすぎてペースを乱されてしまって間合いも取れない、間合いを詰めると下がられるなど、間合いの悩み
仕掛け技の「担ぎ技(かつぎ技)」も、体攻めをきかせて相手の構えを崩すものとして知られています。
担ぎ技の詳細はこちらをどうぞ。
剣道ではこちらから能動的に攻撃を繰り出す「仕掛け技」といいますが、その際のポイントの1つは相手の竹刀をいかに無力化するかです。相手の竹刀が中心線にあって自分の侵入をさまたげているような場合、相手の竹刀をどのように無力化したらいいでしょうか?その方法として払い技、巻き技、連続技(二段三段の技)で防御のロスをついたりと色々
気攻め
「気」というとなんとなく捉えどころのない、非科学的なお話のように聞こえるかもしれません。
しかしこれを「集中力」と言い換えて考えてみてください。
付け入る隙のまったくない、張り詰めた状態を相手より長く持続することで、肉体的・精神的なプレッシャーを与えることができます。
このときに重要なのは呼吸の隙間を相手に悟らせないこと。
分からないように素早く吸って、時間をかけて吐き出します。
「吸気で攻め、呼気で打つ」という言葉があるように、これは試合運び全般を通して言える呼吸法です。
空気を吐ききった瞬間、そして吸い上げる瞬間というのは完全な「虚」の状態となるため、このときに攻撃を受けるとなす術もありません。
つまり「居着き」の状態となってしまいます。特に肩の上下動で呼吸のタイミングを判断されないよう、腹式呼吸を心がけることがポイントです。
この攻めによって、相手が根負けしてうかつな動作を起こした瞬間がチャンスとなります。
まとめ
このように攻め方には基本的なパターンがいくつかあります。実践ではこれらを臨機応変に組み合わせながら戦うことになります。
相手の癖や剣風、反応のしかたなどのデータを収集し、最適な攻めのパターンを瞬時に組み立てていく必要があります。
そのためにもスコア表というのをきちっととっておくといいでしょう。
剣道の試合のスコアを記録する方法とテンプレート、アプリのまとめ
剣道は武道であると同時に運動競技でもありますから、勝敗の記録を残すためにも試合の結果はスコアとして記録しておくことが必要となります。また、その記録があれば自身の苦手な部分や弱点を分析し、次の試合へとつなげるステップとすることもできます。剣道には独特のスコアの付け方があり、その基本をおさえておけば迅速かつ正確に記録をとる
注意すべきは、相手も同様にこちらを攻め崩そうと狙っていることです。
攻めに集中するあまり、自身の防御がおろそかにならないようなバランスにも気をつけましょう。
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