剣道は武道であると同時に運動競技でもありますから、勝敗の記録を残すためにも試合の結果はスコアとして記録しておくことが必要となります。
また、その記録があれば自身の苦手な部分や弱点を分析し、次の試合へとつなげるステップとすることもできます。
剣道には独特のスコアの付け方があり、その基本をおさえておけば迅速かつ正確に記録をとることができますので、基本とスコア表のテンプレート、スマホアプリなどをご紹介します。
また、独自にプラスアルファの項目を追加することでより詳細な分析も可能となるため、今回はそんなスコアの付け方と、アイデアについてもまとめました。
剣道の試合はこうしてスコアを記録する
剣道の試合でのスコアは、基本的にどの技を取得したかということを記号で記録していきます。
メンなら「メ」、コテなら「コ」、以下同様に「ド(ドウ)」「ツ(ツキ)」と、トーナメント表などの名前横の余白に記していきます。反則は△や▲と表記することもあります。
仮に反則2回での一本であれば「反」と書き込みます。
また、先取した側の技を丸で囲んでおき、「こちらが先に一本を取りました」と分かるようにしておくのが標準的な方法です。
そして最後に勝った方の技を二本とも大きな丸で囲むこともあります。そうすると例えば、先行してメンを連取した場合は丸付きの「メ」と丸なしの「メ」を一緒に大きな丸で囲った形に、一本先取された後にメンを連取して勝った場合は丸なしの「メ」二つを大きな丸で囲った形になります。
では、個人戦と団体戦で、団体戦はリーグ戦の場合も含めて具体的にどうスコアを記録したらいいのでしょうか? それをご紹介していきます。
まずは団体戦から。
団体戦の場合のスコア記録の方法
団体戦の場合は先鋒〜大将までを横並びにした表を上下一対にし、チーム対チームのスコアが一目で分かるようにしておきます。
取得技の記録法は前述通りですが、団体戦ですと「引き分け」もあるため斜線や十字斜線、または「引」などわかりやすい記号を用います。
団体戦のスコア表は全日本剣道連盟と一般的な表記が違っている?
全日本剣道連盟のサイトを見ると分かりますが、こうした形で試合結果がスコア表として記録されています。
全日本剣道連盟のサイト、試合者と審判員のルールより
一方、よく使われるスコア表の記録方式はこうした形が多いようです。といっても、地域差や団体によって違いはありますから、あくまで例ではあります。
- 決まり手は:面(メ)、小手(コ)、胴(ド)、突き(ツ)、反則(反)
- 最初の1本:○囲み
- 引き分け:☓
- 成績の上段:一本の数
- 成績の下段:勝った数
一般的な団体戦のスコア表の例
団体のリーグ戦の場合に書くスコア表
剣道大会によってはトーナメント方式ではなく、リーグ戦という場合もあります。
特に団体戦でリーグ戦形式の試合を行う場合はスコア管理がややこしくなりがちなため、しっかりした表作成と表記ルールの統一を徹底して、迷わないようにしておくことが肝心です。
以下に図でご紹介しますが、まず、横方向にチームA・B・C・・・、という欄を作り、縦方向にも同じくA・B・C・・・の欄を設けていきます。そしてAとA、BとB、CとC・・・、と同じアルファベットがぶつかるところを一括して斜線で消し込んでおきます。
すると縦の枠から横へと視線を移動すると、「A対B」「A対C」、「B対A」「B対C」・・・と、各チーム総当りの対戦表ができあがります。
リーグ戦の対戦表の例(剣道対戦スコアの基本的な付け方より)
そして各枠には分母に「勝ち人数」、分子に「取得本数」を記した分数状の数字を書き込みます。
それを丸で囲めば対相手チーム戦での勝利、三角なら負け、四角なら引き分け、といったように一目で勝敗が分かるようにしておきます。
- 勝ち:○
- 引分:□
- 負け:△
- ○□△で囲まれた数字の上段:一本の数
- ○□△で囲まれた数字の下段:勝った数
これは団体リーグ戦でのスコア管理の一例ですが、混乱しやすい試合進行を的確にモニターするのにも適した方法として実践されています。
リーグ戦の対戦表の例(剣道対戦スコアの基本的な付け方より)
個人戦の場合のスコア表
個人戦の場合も基本は同じです。トーナメントの場合、例えばこのように記録していきます。
個人戦における剣道の試合記録のつけかた
選手Aと選手Bの対戦は、選手Aが最初に面で一本を取り、その後に選手Bが胴で一本取った後、選手Aが小手で一本をとり勝利しています。
選手Cと選手Dの対戦は、選手Dによる反則2回が最初にあって選手Cに一本が、その後、選手Dが突きと面を2回連続で取って勝っています。
スマホアプリで剣道の試合を記録する
スコア表は紙に書くのでも構いませんが、データ活用という観点からはスマホのほうが使い勝手はいいでしょう。2019年5月現在、以前はなかったAndroidでも使えるアプリが登場しているのでiPhoneでもAndroidでも使えると思います。
剣道スコアブック Cirport/サポート
CirportはiOSのみのサポートでしたが、Androidにも対応したようです。
以下のような画面で剣道の試合の記録ができます。
Ciport/サボート 剣道 スコアブックの画面より
Ciport/サボート 剣道 スコアブックの画面より
Ciport/サボート 剣道 スコアブックの画面より
剣道手帳
こちらも2019年5月現在iOS版のみです。無料版と有料版がありますので、まずは無料で試してみるも手だとは思います。
剣道手帳より
記録しておくと後で役立つプラスアルファの項目例
剣道の試合でのスコアは基本的に取得技の記録がメインになりますが、さらに詳細な分析を行う目的であれば、具体的な「技名」と打った(打たれた)「タイミング」を記すのがおすすめです。
例えば、同じメンにしても仕掛け技だったのか応じ技だったのか、応じ技であれば何の打突に対しての応じ技だったのか、といった項目を記録するのです。
また、技が止まったところや体勢が崩れたところ、または試合終了直前で焦りをみせたところ等々、戦局のどの段階で打った(打たれた)のかを把握しておくと、自身の得意な技と苦手な技の傾向が分かってきます。
それに加えて、対戦相手の体格や剣風なども添え書きしておくと、自身の弱点分析がより正確になっていきます。
ただし、記録する項目が多くなるほどに筆記係の負担が増えていき、記載ミスなどが出てくる恐れもあるため最低でも二人、役割を分担して正確な情報収集に努める体制を整えましょう。
まとめ
剣道の試合の記録法は各都道府県によっても若干異なる場合があり、それぞれにさまざまな工夫が施されています。
最も重要なのは「分かりやすい」こと、そして「素早く正確に書ける」ことの二点です。
全日本選手権に代表される公式戦でも取得技をメインとした記録法は同じであり、それ以上のデータ収集は各団体や個人レベルでの研究の余地がまだある分野と言えるでしょう。
スコアは記録するだけで終わってしまってはもったいないですから、ぜひその後の剣道に生きるようにしたいものですね。
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