竹刀の柄の付け方、外し方、種類、長さ、などの総まとめ

剣道、竹刀の柄の付け方、外し方、種類、長さなどの総まとめ 用具

竹刀の柄が外れない、つけられない、長さはどれくらいがいい? 種類はどんなのがあって何が違うの? 柄がゆるくなってしまったときにとうしたらいい? など、柄に関する悩みや疑問をいだいている方も多いようです。

そこで、ここでは剣道の竹刀の柄に関するまとめとして以下の内容をお伝えします。

  1. 柄革の種類
  2. 柄の長さ
  3. 柄革の紐の結び方
  4. 柄革がゆるくなってしまったときの対処法
  5. 竹刀に柄が入らないときの対処法
  6. 柄がきつくて竹刀から外れない場合の対処法

竹刀の柄革の種類はこれさえ分かればOK

吟仕組みとか床仕組みとかあるいは吟仕組み(シングル)など、柄革にもさまざまな名前がついていてなんだか分からない……ということもあると思いますので、ここで整理しておきましょう。

次の2つの知っておけば問題ないと思います。

  1. 柄革の素材の違い(吟と床)
  2. 柄の口の部分の違い(ダブル(W)かシンクル(S)か)

あとは見た目の違いとして、折り返しの部分にトンボや桜などがあったり、黒色になっているものなど、いくつくか種類があります。

柄革の素材の違い(吟と床)

素材の違いは、ほぼ吟柄か床柄かの違いです。吟のほうが高級素材であり、床より高価になり厚みや肌触りが変わります。

通常、剣道の柄は鹿革または牛革でできていて動物の革というのは、厚みがあって体の表面側(毛に近いほうと)と体の内部に近い側で性質が変わります(余談ですが、皮ははいだままの状態で、革はなめした状態のものをさします)。

革の構造(吟と床)
革の構造

図のように吟(ぎん)は体表面に近い側で、厚さも薄くなります。床は肉や脂肪に近い側で吟よりも厚みがあります。吟のほうが床よりも薄いですが、吟のほうが破れにくく丈夫です。

実際に竹刀を握ってみるのが手っ取り早いというのはありますが、こうした違いがあります。

柄の口の部分の違い(ダブル(W)かシングル(S)か)

柄の口の部分、つまりはつけたときに鍔に近い側ですが、この形が大きく2つあって、1つはシングル(S)でもう1つはダブル(W)と呼ばれます。ただ、シングルの場合、何も表示がないこともあります。

このように折り返してある部分がシングルよりもダブルのほうが口の部分に厚みがあります。

シングル(S)の柄とダブル(S)の柄の違い
左がシングルの柄で右がダブルの柄です

また、パッと見たときの違いですぐに分かるのは柄紐の輪です。シングルは1つの輪っか、ダブルなら2つの輪っかとなっています。

剣道、竹刀の柄の付け方、外し方、種類、長さなどの総まとめ
こちらも左がシングルの柄で右がダブルの柄です

使いやすい、見た目がいいなど理由はなんでも構いませんので、好みのものを選んでみてください。

柄の長さはどのくらいがちょうどいい?

竹刀の柄の長さの目安

柄の長さは全日本剣道連盟による規定はありませんので、自由に決めて構いません。ただ、竹刀の長さは決まっていますから物理的な限界はありますが、自分の使いやすい長さに調整するのは何ら問題ありません(場合によっては、道場やローカルルールで決まっているというケースはあるかもしれません)。

竹刀の柄の長さは、一般的に、腕を曲げて鍔元を右手で握って竹刀を上に向けたときに、柄頭が肘に来るような長さが適しているとされています。

あるいは、右手を曲げて関節のところに竹刀を乗せ、人差し指が鍔元の部分に来るくらいと捉えても同じことですので、イメージしやすいほうで試してみるといいと思います。

柄の長さは一般的な目安を参考に自分に合った長さに

ただ、人によってベストな柄の長さは変わるものですし、先程の基準はあくまでひとつの目安です。

上段の構えをする方は長めの柄にするケースが多いようですし、反対に柄は短いほうが扱いやすいという人もいます。

なお、柄が長いと、手の返りが悪くなり、正確な打突が難しくなりがちです。反対に柄が短いと重心が剣先に移動しますので、それはそれで扱いが難しくなることがあります。

こちらの竹刀の種類でもお伝えしたとおり、重心の位置が手前に来れば来るほど操作はしやすくなりますが、手前重心にしない人もいますので、好みが分かれます。

【保存版】剣道の竹刀の種類や名前の総まとめ

竹刀にはさまざまな種類があります。形の違い、長さの違い、竹の違い(材質の違い)といったいろいろな違いがありますが、剣道具店によって基準がバラバラ……。どんな種類があるか分かりにくい……と思いましたので、竹刀がどういう分類で分かれていてどんな特徴があるのかをまとまめした。選び方という観点からいうと、人によってさまざまなの

柄の長さを調整して短くする方法

短い柄を長くすることはできませんが、長い柄を短くすることはできます。多少の手間はありますが、動画での解説もありますので、ご紹介します。

大きく柄の口のほうを切るか、柄頭を切るかの2通りありますのでそれぞれ見ていきましょう。前者のほうが手間はないと思いますが、柄革の輪っかによっては後者でしかできないこともあると思いますので、両方のやり方を知っておくといいと思います。

柄革の口の部分(鍔に近いほう)を切って短くする方法

こちらは柄の口の部分を切って柄を短くする方法です。使う道具は次の3つになります。

  1. ハサミ
  2. 千枚通し(目打ち)などの先のとがった工具
  3. 作業用の台

作業台といっても動画のような木片でもいいですし、その他似たようなものであればなんでも構いません。


柄革の柄頭部分を切って短くする方法

他にも方法はいくつかあって、こちらは反対に柄頭を切って針と糸で縫い合わせる方法です。この方法で柄革を短くする際に使う道具は次のとおりです。

  1. 細長い棒(孫の手などでも可)
  2. ハサミ
  3. 千枚通し(目打ち)などの先のとがった工具類
  4. ペン
  5. 針(指の長さほどの巨大サイズ)
  6. 糸(デンタルフロスで代用)
  7. 下敷き(使わなくなったノートや厚手のダンボールなど)
  8. ラジオペンチ

やり方はこちらの動画を見てみてください。


英語の解説になりますが動画で分かると思います

解説が英語になりますので、簡単にやり方を載せておきます。

なお、動画では糸はデンタルフロスで代用しています。デンタルフロスはドラッグストアにでも行けば普通に売っていますし、たいていは500円もせずに買えます。歯に使うものということで、歯磨き粉のようにミント系の香りつきのもありますので、注意してください(匂いがついてもいいのなら別ですが)。

  1. どれくらい短くするか切る長さを把握する(柄の長さは前述のとおり)
  2. 細い棒(動画では孫の手)を使って柄を裏返す
  3. 柄頭の部分をハサミで切る
  4. 切り口から1cmのところにペンで印をつける(柄を一周するように)
  5. 印をつけたところに4つずつ穴を開ける(表も裏も開けるので合計すると8箇所)
  6. 縫って縮める
  7. 糸を結んで閉じる(固結びでOK)
  8. 裏返したのを元に戻す(ラジオペンチがあると便利)


クリック or タップで拡大(YouTubeの動画から作成)

柄革の結び方

柄革は解くことはあまりないと思いますし、ものによっては解けない場合もあると思いますが、解けてしまった場合には以下の要領で結ぶとしっかりと結べます。


画像は、石渡康二「剣道用具マニュアル」(福田企画、2007年改訂版)のP10より/span>

参考にした剣道用具マニュアルはよくできた資料ですので、剣道をやるなら手元に置いておきたい冊子です。

先ほどの柄を短くする方法の箇所でご紹介したこちらの動画にも柄の紐を結ぶ方法が解説されていますので、参考にしてみてください。


途中から再生されるようにしていますが、繰り返し再生すると最初からに始まることがあります。その場合は、6:45-7:05を見てください。

柄革がゆるくなってしまった場合の対処法

竹刀を使っているうちに柄がゆるくなってしまうこともあります。そんな場合にはどうしたらいいのでしょうか?

新しく柄を買うというのがいいのかもしれませんが、道具は手入れしながら使うのがいいと思いますし、できれば手に馴染んだものを使いたいということもあると思いますので、柄がゆるくなってしまったときに締める方法をお伝えします。

革を縮めるには水分がカギ

普段から革製品を扱っている職人さんの話によると、革は水に濡れると伸びて乾くと縮むという性質があるとのこと。乾かすときにゆっくりと乾かしたほうが縮みは少なく、ドライヤーなどで高温にさらして急に乾かすと縮みが大きくなるようです。

それを応用してなのか分かりませんが、柄に関しては鍋ややかんでお湯を沸かして、その湯気で柄を温めるという方法を実践している人もいます。

お湯を沸かして竹刀に柄をつけたまま湯気に当てるだけですので、とても簡単なやり方です。ただ、湯気に当てすぎると縮みすぎて縫い目が切れてしまうということもあるようですので、注意しながらやってみてください。

湯気ではなくお湯をかけるだけという方法もあれば、水に濡らしておくという方法もありますが、いずれにしても基本は柄がゆるんだときには、柄に水分を含ませて乾かすというのがポイントになります。

竹刀の柄革が入らない場合の対処法

きつくて柄革が竹刀に入らない場合には、次の方法を試してみるといいでしょう。

  1. 小麦粉などの粉を柄の内側にまぶして滑りやすくする
  2. ゴム手袋や柄入れゴムなどを使って押し込む
  3. 水につけてから入れる
  4. 最終手段は武道具店にお願いすること

小麦粉などの粉を柄の内側にまぶして滑りやすくする

小麦粉を柄に入れることで滑りをよくして竹刀に入れる方法は意外と有効です。小麦粉でなくてもかまいません。重曹を使うと汗の臭いがとれますので、一石二鳥になるかもしれません(臭いの強さと重曹の量によってはあまり臭いは取れません)。

ゴム手袋や柄入れゴムなどを使って押し込む

素手だとなかなか力が入りにくいですので、市販のゴム手袋や柄入れ用としてよく使われるゴム(スベランです)、こちらの京都武道具さんが使っているようなキャッチャーゴムを使います。

ゴム手袋は100円ショップに売っているような安いものでも構いませんし、なければすべり止めつきの軍手でもかまいません。

水につけてから入れる

先ほど革職人の話でふれたとおり、革は水につけると伸びますので、それを利用するという方法もあります。濡らした状態で竹刀につけてそのまま乾かします。前述のとおり乾くと縮みますので注意してください。とくにドライヤーなどで乾かすとさらに縮みます。

最終手段は武道具店にお願いすること

どうしても入らない場合には武道具店で入れてもらいましょう。専用の機械がありますので、問題なく入ると思いますが、おそらく上記のやり方で入るとは思います。

柄革がきつくて外れない場合の外し方

柄革がきつくて竹刀から外れないということもあると思います。2人がかりで引っ張って、はずれないということもありますが、そんなときには次の方法を試してみてください。

こちらの記事にも書いたとおり、柄を入れるときと同様に市販のビニール手袋や滑り止めのある軍手を使うと柄を外すのに効果的です。

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また、先ほどもお伝えしたとおり、革製品は水に濡らすとふくらみますから、水をかけて柄を膨張させてから外すという方法もあります。寝る前につけておくとか、朝、学校や会社に行く前につけるなどして浸しておくとたいていは抜けます。

まとめ

以上が、竹刀の柄に関するまとめになりますので、困ったときや疑問がわいたときに活用してみてください。

その他、竹刀に関しては以下の記事もありますので、合わせてどうぞ。

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