剣道防具のなかでも頭部と顔全体、首から上の全てをガードする「面」は、安全の上でも特に重要な部位と考えられています。
剣道防具は新品の状態ではとても硬いもの。縫製したままの形なので、実際に着用して使い込んだり、つける人の体になじむように型を付けたりする必要があります。
特に面は「型付け」という工程を施さないと、面布団がまっすぐですから使いにくくてしょうがないです。ですから、新品の面は面布団が広がるように型を付けます。
では、それにはどのような注意点があるのでしょうか。上達にも安全にも関わる、大事なポイントについてお伝えします。
「面垂れ」に面紐を巻き付けて型を付ける
百秀武道具店さんの動画より
こちらの動画でも分かりますが、面は新品の状態だと、首筋から両肩に向かって広がっている「面垂れ」がまっすぐになっています。これを適切な位置で折りたたみ、形状を記憶させるように型を付けます。
そのためには付属している長い面紐をしっかりと巻き付けて固定する必要があります。
武道具屋さんで新たに剣道防具を購入すると、あらかじめ大まかな位置で巻き付けた状態で納品されることがほとんどかと思います。しかし、各人に合わせて型を付けるためには適切な位置決めをしなくてはなりません。
以下にそのポイントを挙げてみます。上記の動画の内容と違うポイントがあったとしても、これが唯一の正しい方法というのはありません。自分に合いそうなやり方でやってみてください。
面垂れと肩の間にはやや隙間を
面垂れの大きな役割には、相手の竹刀から肩を防御するという機能があります。そのため、肩と面垂れの間には適度な隙間をあけてクッションの効果を持たせなくてはなりません。
面に型を付ける際には、実際にかぶってみて面垂れをどの辺りで折りたたむと自分の身体に合うのか、しっかりと把握しましょう。
面垂れはやや斜め前を向くように
面垂れの側方を観察してみると多くの場合、途中で織り方が変わっていたり、斜めの線が走っているように見える箇所が確認できます。
ここが概ね折りたたむべき目安の位置になりますが、各人で調節する必要があるのは前述の通りです。
重要なのは、この線の角度を基準にして折り目を付けていくということです。面垂れは正面から見て水平ではなく、やや斜め前を向くように型を付けるのがポイントになるからです。
初心者が注意すべきこと
面は着装が完了した後、面垂れを左右に軽く引っ張って耳が当たる部分の空気を抜かなくてはなりません。そうしないと面の内部が密封状態となり、打たれた衝撃で鼓膜が破れてしまうことがあるからです。
耳の後ろ側から緩やかにカーブするような型を面に付けることで空気を抜きやすくし、なおかつ首の可動範囲もより広く確保することができます。
型付けは一週間を目安に
面に型を付けるには、おおよそ一週間を目安にするとよいでしょう。ただし、これは面紐を巻き付けてそのまま放置するよりも、実際に使いながら手入れをしつつ行うのが最適です。
まず、稽古が終わったら面の内輪に溜まった汗を十分にふき取り、残った分は新聞紙や布などをあてて吸わせるようにします。
面垂れに型を付ける位置を決め、面ひもをしっかりと巻き付けて固定します。このとき面ひもがねじれないように注意してしばります。そして、絶対に直射日光には当てないようにして風通しのよい日陰に吊るしておきます。これは急激な乾燥によって縮んでしまうことと、日光による色落ち・色あせを防ぐ意味があります。
使用頻度にもよりますが、こうしておけば一週間ほどで面に型が付いて形状が記憶されます。
安全のため、着けたときの形を確認する
面は剣道防具のなかでも、特に強い衝撃にさらされる部位となります。
竹刀で打たれるだけではなく、体当たりでぶつかったり突きを受けたり、激しい動きに耐えなくてはなりません。
そのため、何よりも重要なのはしっかりと着装できるような形に整えることです。例えば面垂れの型を付ける位置が高すぎると、それに伴って面紐で縛る位置も高くなります。すると、衝撃を受けたときに面が脱げてしまうこともありえます。
さらには首周りに大きな隙間ができて、相手の竹刀が喉元に入り込んでしまうという可能性も高くなります。そうなったら自分が痛い思いをするだけでなく、ケガをさせてしまった側もイヤな気持ちになります。
流行によってはこうした方がかっこいい、と思う型の付け方があるかもしれません。それで問題があるわけではないですが、安全を無視してしまうのは明らかにおかしいでしょう。安全を第一に考えて自分の身体に合わせた基本通りの方法で行うことが重要ですね。
まとめ
面の型付けは、実際に着装して稽古で使いながら行うのが最適です。
そうして自分の身体に最も合った位置を見極めて、安全で動きやすい状態を作り上げるのが肝心です。
剣道防具のフィット感や使いやすさは、技術面での向上にも大きく影響します。一度型を付けてしまうと容易には修正できないため、しっかりと観察しながら行うのがポイントです。
そうして型を付けた面は、世界でたった一つの、あなただけのものになります。愛着をもって、丁寧に扱うことを心がけましょう。
その他、面の付け方や面紐の結び方などはこちら。
剣道の面は練習、試合、昇段・昇級審査において、最も叩かれる箇所といえます。なので、面をしっかり装着することはケガ防止にもなりますし、面を入れられてもなるべく痛くないようにもできます。さらには、動きやすく戦いに集中できると言えます。では、どうしたら正しく面をつけられるのでしょうか? それを解説します。面をつける前にまずは
また、面が痛い……! と感じることがあるならこちらの対処法がおすすめです。
剣道の試合では面が打たれないように、防ぐこともできますが、練習では避けては通れない技の1つです。面打ちの練習は必要なので、頭が痛くなり練習が憂鬱な人もいるでしょう。少しでも面打ちの痛みを少なくするため、痛みを和らげる方法をご紹介します。全日本剣道連盟の動画よりこの画像はこちらの全日本剣道選手権大会の動画から抜粋した画像
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