剣道、打ち落とし技を決めるには? 比較的決めやすい打ち落とし技とその解説

剣道、打ち落とし技を決めるには? 比較的決めやすい打ち落とし技とその解説

剣道の応じ技のなかには、相手の太刀筋そのものを迎撃したうえで反撃するというタイプの技が存在します。

攻撃そのものを無力化されるため、相手にとっては厄介なカウンターとなるこれらの技を「打ち落とし技」として分類しています。

打ち落とし技は竹刀のどの部位で打ち落とすのか、足さばきはどうしたらいい? タイミングは? など難しさもある技です。

今回はそんな剣道の応じ技の1つである打ち落とし技について、比較的決めやすい技、難易度の高いものも含めて解説したいと思います。

打ち落とし技とは

剣道の打ち落とし技というのは読んで字のごとく、攻撃してくる相手の竹刀そのものを迎撃する、つまり「打ち落とし」てから隙のできた部位を捉えるという技のことです。

切り落としと呼ぶこともあります。

打ち落とし技は、二段打ちの技のような連続技として行うものと、打ち落とすことと打ち込むことを一拍子で行うものとがあります。

また、返し技すり上げ技とは違って鎬(しのぎ)ではなく刃(刃部)を使って応じるのも特徴です。

代表的な例を以下に挙げてみましょう。

  1. 小手打ち落とし面
  2. 胴打ち落とし面
  3. 突き打ち落とし面
  4. 面打ち落とし面

という4つです。

比較的決まりやすい小手打ち落し面

相手の小手打ちそのものを打ち落とし、そのまま面へと渡って一本を決める技です。

見た目のうえでは「小手・面」の連続技に似ていますが、相手にとっては上から下へと振り下ろした小手打ちを、さらにその上から打たれることになるため強い衝撃を受けることになります。

このように、打ち落とし技は相手の攻撃の勢いが向かう方向に力を加えることで、その攻撃を無力化したうえで二の太刀を放つというセオリーがひとつの手段として存在しています。

小手打ち落とし面は、そんな理合がもっとも分かりやすい形であらわれた技のひとつとして知られています。

形によっては「相小手面(あいごてめん)」という言葉で表現されるように、小手の相打ちにも見える状態からの連続技とも理解される場合があります。

しかしその際に、相手の「上太刀(うわだち)」をとった状態で打ち落としているかどうかが打ち落とし技の是非を決めます。

人によってはこれを「小手切り落とし面」と呼ぶこともあり、相手の太刀筋そのものを切り(打ち)落とすことが肝要です。

小手打ち落とし面の際の打突部位とコツ

左斜め後方に後ろに体をさばいて相手の小手を打ち落とします。そして直ちに面を打ち込んでいく。

竹刀の刃部を使って相手の竹刀を真下に打ち落とす気持ちで行うのがポイントです。

剣先と鍔元のちょうど真ん中の位置を自分竹刀のもの打ちでしっかりと打ち落とします。そしてすぐにそのスキを捉えて正面を打ち込んでいきます。

小手打ち落とし面の動画

こちらの動画は日本語の解説ではないですが、小手打ち落とし面の動きの参考になると思います。


小手打ち落とし面の動画

胴打ち落とし面

相手の胴打ちがこちらに到達する前にその軌道上で打ち落とし、居着いた瞬間にその面を捉えるのが「胴打ち落とし面」です。

これは「木刀による剣道基本技稽古法」の九本目に「打ち落とし技」として採用されているものと同じ技でもあります。

胴打ち落とし面も比較的決まりやすい技の一つといえます。

相手が斜めの太刀筋で胴に打ち込んでくる瞬間、その竹刀を右斜め下方向に強く打ち落とします。

軌道上で打ち込みを迎撃された相手は一瞬動きを止めてしまうことが多いため、その隙を狙って面を打ちます。

打ち落とし技のなかでも特に豪快で「力」を感じさせる技でもあります。ただ、剣道基本技稽古法では打ち落とす瞬間には左斜め後ろに体さばきを行って、相手の刃がこちらに到達しない間合いを確保するという精妙な技術を教えています。

竹刀同士での打ち合いではなかなかそこまでの動きはしにくいかもしれませんが、「真剣であればどうか」という厳しい想定によって技の精度が高まるため、十分に間合いを研究しながら使うべき技でしょう。

胴打ち落とし面のポイント

小手打ち落とし面と共通するポイントは多いですが、視線に注意するといいでしょう。

打ち落とす際には自分の視線が打ち落とす方向にいかないようにします。竹刀は打ち落とす方向にいきますが、目は相手に向けたままにします。

そして、打ち落としたらすぐに打突につなげていきます。

突き打ち落とし面

相手の突きを打ち落とし、そのまま面へとつなげる技です。

相中段でも可能な技ですが、特に上段に構える選手が中段から突きを放ってくる相手を迎撃するのに使うことが知られています。

その場合は、片手ではなく諸手での打ち込みになります。

面打ち落とし面

剣道の技のなかでももっとも修得難易度が高いといわれるのが「面打ち落とし面」です。

これは相手の面打ちそのものを打ち落とすと同時に、その面へと一拍子で打ち込むという高等技法です。

古流剣術である「一刀流」の極意技、「切り落とし」に通じる究極のカウンターとも表現されます。

練習をするのであれば、まずは打ち落とすことと打突することを分けて練習していくのがいいでしょう。だんだんと感覚がつかめてきたら打ち落としと打突が一緒になるようにしていきます。

八段の熟練者でも修得が非常に難しい技ですが、参考までにご“紹介しました。

まとめ

打ち落とし技は、相手の攻撃そのものを相殺する技であるため、とても現実的な戦法であるといえます。

しかし、その後の二の太刀・三の太刀へとつなげて一本をとるためには相手の反応をよく見極める必要があり、単なる相殺で終わってしまわないように注意すべきでしょう。

連続打ちで必要な手の内を十分に活用して、即座の技を心がけることが肝要です。

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