剣道の出ばな技(出ばな面、出ばな小手)のコツと一本を決めた動画

剣道の出ばな技(出ばな面、出ばな小手)のコツと一本を決めた動画

剣道で相手を打ち込むチャンスというのはさまざまな状況があります。

なかでも、技が発動するその瞬間、いわゆる「起こり」「出頭(でがしら)」「出ばな(出鼻)」などと呼ばれるタイミングが重要なものとして挙げられています。

このような機会を捉えて打つ技を「出ばな技」と呼んでいるわけですが、なかなか慣れないうちは相手の次の動きがわからないこともあるもの。

そこで、ここでは出ばな技としてよく使われる出ばな面、出ばな小手のやり方とコツをお伝えします。

出ばな技とは

「出ばな技」はよく「カウンター」に例えられます。

相手が打ってくる瞬間に合わせて攻撃するため、見た目の上では「相打ち」に見える場合が多いためです。

しかし、剣道の勝負において一瞬の遅れは勝敗を分ける決定的な要素となります。

つまり「出ばな」を完全に捉えられるということは回避も防御も不能となることを意味していて、逆に言えば攻撃を行う最大のチャンスであるということになります。

出ばな技は仕掛け技として紹介されているケースが多いかと思います。しかし、相手の動作に合わせるという観点から、ここでは出ばな技はこちらから攻撃を仕掛ける「仕掛け技」ではなく、相手が攻撃をしようとして動作を起こすことで発動する「応じ技」に分類します。

以下、出ばな技として出ばな面(出鼻面)、出ばな小手(出鼻小手)を見ていきましょう。

なお、出ばな胴もないことはないのですが(出ばなで逆胴を打つ選手がごくまれにいます)、相当難しく一般的ではありません。また、出ばな突きは迎え突きになり、禁じ手とされます。

出ばな面(出頭面)

相手が打とうとして体勢を整えるか一歩攻めてくるその瞬間、先制して機会を捉えて面を打つのが「出ばな面」です。

通常の攻撃手順としては、

  1. 一歩攻める
  2. 打突を繰り出す

という動作を一挙動で行っていることになります。

出ばな技とは、相手の1から2へと移行する瞬間の隙を捉える技と言い換えることができます。

厳密なタイミングは遣い手やその時々によって異なるとも考えられますが、重要なのは自身がいつでも反応して飛び込める体勢を整えておくことです。

上記の手順どおり、1→2の動作を同じようにしていたのでは、余程スピードで優らない限りは先に動いた相手に先制できることはありません。

したがって、相手の1、2に対してこちらは1.で直接攻撃をできるように準備しておくことが出ばな面の成否を握る鍵となります。

もう少し分かりやすく例えると、短距離走のクラウチングスタートをイメージしてもらうとよいでしょう。

相手は両膝を地面に着けた状態から、「ヨーイ」でようやくスタートの構えになりますが、こちらはすでに両足を伸ばして「ヨーイ」を完了させている状態だといえます。

そのために、「相手が先に動くのに、こちらの攻撃が先に届く」という一見矛盾した技が成立することになるのです。

重心の置き方やいつでも動ける体勢づくり、そして相手が動作する瞬間を的確に見極める感覚などなど、高度な技術が要求される技ですが、「回避不可能」という究極の技のひとつともされています。

出ばな面で一本となった動画

こちらは出ばな面で一本となった試合の動画。


出ばな小手(出小手)

相手が面を打ってくると、その小手には必ず隙ができます。

これは初心者も熟練者も同じことであり、ある意味で絶対的な摂理となっています。

その面打ちの軌道上で、相手の小手を迎撃するように打ち込むのが「出ばな小手」です。

ただし、打ってくる相手も小手に隙ができるのは十分承知のうえであるため、攻めをきかせたり竹刀を払ったりして、優位な状態での攻撃を試みます。

したがって、こちらは相手が打ってくる瞬間を待つというよりは、「相手の打ちを引き出す」という戦略をとることが重要となります。

戦術上、巧妙に相手の面打ちを引き出すことができれば、こちらはすでに打つための体勢を整えておけるので、いわばトラップを仕掛けているような状態となります。

ただし、それを見破られては逆にこちらが窮地に立たされることにもなりかねないので、攻めの方法と合わせて研究が必要です。

もちろん、引き出すだけではなく状況に合わせて即座に出ばな小手を狙えるような鍛錬も必要です。

出ばな小手の動画

こちらは出ばな小手(出小手)を放つ瞬間の映像です。スローの動画になっています。


まとめ

出ばな技は、相手が動きを見せてからの勝負となるため、初心のうちはこちらの打ちが間に合うようには思えずに躊躇してしまうことが多いかと思います。

しかし、ほんの一瞬のためらいや迷いが致命傷となるのが剣道です。

出ばな技を放つときは思い切りよく、捨て身の気構えで打ち込むことがポイントです。

「死中に活を求める」ということわざどおり、ほんのわずかでもこちらの打ちが早く相手に届くかどうかは、迷いのない打ち込みにかかっています。

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