剣道の胴で一本をとれる打ち方のコツとポイント

剣道の胴で一本をとれる打ち方のコツとポイント 技術

相手の防御がもっとも堅く、しかも斜めに打ち込む軌道であるため刃筋を通すのが難しい「胴打ち」は、剣道の有効打突部位のなかでも一本になりにくい技であるといえます。

しかし、それだけに胴技を磨くことは試合のなかでも切り札となり得るため、ぜひ苦手意識を克服したいものです。

ここではそんな胴打ちの、一本となるためのコツとポイントについてお知らせします。

いい胴は「音」が違う

「胴」が小手・面・突きと決定的に異なっている点は、「防具の素材」にあります。他のすべてがクッション状の部材で構成されているのに対し、胴だけは固い革や竹、あるいはプラスチック状を呈しています。

したがって、打ち込んだときに鳴る「音」が他の部位とは違う、独特の高く乾いたようなものとなっています。

これは正確に打ち込むほどはっきりとした音として認識されるため、一本となる胴は必ずよい音がしているものです。

逆にいえば、打ち込んでもあいまいな音がするようならばそれはしっかりと打てていない証拠になります。

どう打てば一本となるいい音がするのか、何度も打ち込みを試して体得することが肝要です。

胴のバリエーションを網羅する

一口に「胴」といっても、実は多彩なバリエーションがあります。

技の選択肢を多く持っていることは、その試合の際にさまざまな戦法を取れるということでもあるため、練習できる限りの技を身に付けておくのはとても有意義です。

以下に胴技のバリエーションと、一本となるためのポイントをご紹介したいと思います。

抜き胴・返し胴

相手が面を打ってきたときに、その左側、自分にとっては右方向にすり抜けながら打つ胴です。

相手の竹刀を受けなければ「抜き胴」、受けておいてそのまま自身の竹刀を旋回させて打つのが「返し胴」です。

これらの胴技で特に気をつけるべきポイントは「間合い」です。

相手が勢いよく飛び込んでくるところを打つため、一瞬の差で間合いが詰まりすぎるおそれがあります。したがって、十分に竹刀の物打ちで相手の胴を捉えられるよう、ゆとりのある距離で技を出すことを意識しましょう。

引き胴

鍔迫り合いから離れるその瞬間に繰り出す技を「引き技」といいますが、胴でもそれを使うことができます。

いわゆる「引き胴」ですが、大切なのは打った勢いで竹刀が弾かれないように、しっかりと手の内を締めることです。

せっかくうまく当たっていい音がしたとしても、竹刀が弾かれた状態だと「ただ当てただけ」と判断され、手の内がきいた冴えのある打ちとはみなされなくなってしまいます。

できるだけ打ち込んだままの位置を保持しながら、素早く下がって相手の追撃を許さないことで「残心」となります。このように安全圏に迅速に離脱することも引き胴で一本を取るために必要なポイントとなります。

逆胴

相手の右側の胴を打つのがもっともポピュラーな胴技ですが、左側を攻撃する「逆胴」という技もあります。

動作が大きく、それゆえにこちら側の隙もできやすいリスキーな技ですが、戦況が膠着状態になったときなどに使うと効果を発揮する大技です。

ポイントは十分に踏み込んで竹刀を振り抜くことと、打った後はできるだけ相手の左斜め前に密着する形で、反撃を受けないよう警戒することです。

逆胴は抜き胴や返し胴と違って、相手がその場にいる状態で使うことが多いため、打った直後に打ち返される危険があります。せっかく一本となる打ちを放っても、間髪入れずまともに面打ちを返された場合、審判の心象が「相打ち」となって旗が揚がらない可能性が考えられます。

逆胴を使うときは相手の反撃に備えられるような体勢を保持して、十分に残心を行うことが肝要です。

まとめ

胴打ちは斜めに竹刀を振る必要があるため、手首の使い方と刃筋の通し方に工夫が必要となります。

有効な稽古法としては、竹刀ではなく木刀を用いて胴打ちの素振りを行い、どのような軌道で振ると刃筋正しく打つことができるのかを体得することです。

苦手とする人も多い胴打ちですが、剣道の有効打突部位のうちではもっとも面積が大きく、本当は打ちやすい箇所だといえます。

体さばきを確実に行い、自分の間合いで打てるように練習することが上達のポイントとなります。

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