剣道の連続技のパターンは実にさまざまな種類がありますが、そのなかでもよく見られる、または有効なパターンに関してお伝えします。
剣道では、こちらから能動的に仕掛ける技を「仕掛け技」と分類しています。そんな仕掛け技の中でも、素早い竹刀さばきで剣道らしい特徴を感じさせるのが「二・三段の技」です。
複数の打突を組み合わせた連続攻撃ですが、初めから「小手面を打つぞ」と気構えていても決まらないものです。相手の様子を見ながら打ち込む必要があるわけですから、難しいと感じる人も多いでしょう。
といっても何も知らずに臨機応変に、というのは無理がありますから普段からいつでも連続技が出せるような稽古はしておきたいものです。
そこで、有効なパターンを知ることとそのポイントについてお伝えします。
剣道の連続技、二・三段の技
二・三段の技とは、ある部位への攻撃に対して防御反応を起こした相手が、そのために他の部位に隙ができることを利用してさらに打ち込んでいく連続攻撃のことです。
初撃で決められることが理想ですが、それはなかなか困難であるため、二の太刀・三の太刀で一本を決める場合の技を指します。
バリエーションはさまざまですが、以下に代表的なものを挙げてみましょう。
- 小手・面
- 小手・胴
- 面・胴
- 突き・面
- 小手・面・面
- 小手・面・胴
小手・面
「小手・面」とは相手の小手を打ち、それを防御して面に隙ができたところをすかさず打ち込む技です。
連続技のなかでももっとも基本となるコンビネーションであり、手の内の使い方や足さばきの方法など、二・三段の技のエッセンスが凝縮されています。
最初に練習すべき二・三段の技として位置付けられていますが、ポイントとしては初撃の小手を、最初から牽制のつもりでは打たないことです。
本気で一本をとるつもりで打ち込むがゆえに、相手は防御反応を起こすため、フェイント感覚で軽く打ったのではそれを見破られて反撃されるおそれが強くなります。
これはすべての二・三段の技について共通したことですので、稽古の際にはこの点によく留意しましょう。
小手・面の動画はこちら(丸亀武道館一心会会長の白石義輝教士八段)。
小手面の場面から始まりますが、繰り返し再生すると初めから再生となります。1:23から2:06までが小手・面(大きく小手面と小さく速く小手面の2パターンあります)です。
小手・胴
小手・面の連続技はよく見られるため、小手を防いだ相手は反射的に次の面に備えて手元を浮かせてしまうことがあります。
そこで小手・面の裏をかいて、小手打ちから隙のできた胴へと変化するのが「小手・胴」です。
動作が大きくなりますが、相手が本当に面を警戒するような気勢で技を出すことが肝要です。
むしろ最初から二の太刀で胴を狙うのではなく、小手の次にどこに隙ができたかを瞬間的に判断して、柔軟に二の太刀を変化させる訓練が必要です。
あるいは、小手が沈んで手元が上がる反動を利用して胴を打っていきます。素早く入って手元を脅かして手元を浮かせるようにするのが基本です。
面・胴
面を防げば必ず胴に隙ができる、という原則を利用した連続技が「面・胴」です。
「小手・面」が下から上への太刀筋とすれば、「面・胴」はそれとは逆に上から下への太刀筋となります。
しっかりと横あるいは斜め前方向へと足さばきを行って、面打ちで前方へと向かった勢いを無駄なく移行させることが必要となります。
突き・面
突きを放って相手が崩れるか、防御反応を起こした瞬間に面打ちへとつなげるのが「突き・面」です。
単発では一本となりいにくい突きですが、相手を攻め崩す効果を利用して連続技にしたものです。
ポイントとしてはしっかりと突いて引くことです。それよって適正な間合いが生まれますので、次の技につなげやすくなります。
ただ、初撃の突きそのものをいなされたり、さばかれたりしてはこちらの体勢が崩れることになるため、十分な攻めをもって突くことが肝心です。
小手・面・面
「小手・面」からさらにもう一太刀、面へと打ち込んで決めるのが「小手・面・面」です。
読んで字のごとく三太刀目で一本をとる「三段技」であり、的確な足さばきが成否を左右します。
小手・面に対して竹刀での防御ではなく体ごと下がって、つまり「あまして」攻撃を回避しようとする相手に有効な技です。
「あます」ということは、相手が体を引いて打突を抜こうとすることですから、その瞬間は、相手の体はやや後ろに反った形となります。そこに三太刀目の面を打つ大きなチャンスが生まれます。
小手・面・胴
小手・面と打ち込んで、二の太刀の面を竹刀で防御された瞬間、空いた胴へと打ち込む技が「小手・面・胴」です。
要領としては他の二・三段の技と同じではありますが、ほぼすべての部位を一呼吸で行うため、たとえ一本にならなくても打たれる側には大きな精神的プレッシャーを与えることになります。
二の太刀までで終わらず、三・四・五・・・と隙のある限り何太刀でも打ち込むという気勢と体勢を示すことがポイントです。
まとめ
二・三段の技はその組み合わせによって無数のバリエーションが生まれる、自由度の高いわざでもあります。
また、便宜上「二・三段」と呼んではいますが、相手の隙を許さずに一本を決めるまで何発でも打ち込む心積もりで技を遣うことも必要です。
また、注意点として再三いわれるように、最初から二の太刀・三の太刀を本命とするわけではないため、初撃から一本を決めるくらいのつもりで打ち込んで相手の守りを崩すことが肝要です。
コメント