剣道をやっていて「小手が痛い……!」「面が痛い……!」という人は多いものです。
剣道は全身に防具をまとい、衝撃を緩和する竹刀を用いて打突するため、「最も安全な武道」と呼ばれることもありますが、高速で繰り出される竹刀の一撃は相応の威力があり、初心のうちは打たれる痛みにびっくりすることもあるかと思います。
悩んでいる人も多いようで、上記のような痛そうな手を見かけることがあります(写真はGoogleで「小手 あざ」と画像検索した結果です)。
あまりにも痛いのは動きにも影響が出ますし、あざになることもありますから、支障をきたすようなら対処すべきことでしょう。
そこで、今回は小手を打たれる際の痛みについて、その対策をお知らせしたいと思います。
なお、面が痛い場合の対処法に関してはこちらにまとめています。
剣道の面が痛い!そんなときの対処法4選
「小手」はもっとも防御が薄い部位
面金と厚い面布団に守られた「面」や固い「胴」に比べて、「小手」は比較的防御の薄い部位であるといえます。
また、前腕の皮膚の薄い部分を打たれるため、衝撃や痛みを感じやすくなっています。
衝撃を視覚的に見るために、こちらの小手打ちのシーンを見てみてください。このくらい竹刀がしなることもあるわけですから、衝撃の大きさは分かると思います(あくまで視覚的なイメージの話ですので、この小手が痛いかはまた別の話です)。
全日本剣道連盟の動画より
この画像はこちらの小手が決まったスローモーションの動画の中にあるシーンです。
初心のうちは特に「打たせ方」にも習熟しておらず、衝撃にも慣れていないため、小手の痛みについての悩みを抱えやすい時期となります。
そこで、以下の方法を試してみましょう。
小手の「筒」と腕との隙間をチェックする
まず、前腕を守る小手の「筒」の部分をチェックしてみてください。
装着したときに、前腕と筒との間に十分な隙間があるでしょうか。
もし腕と筒とが密着した状態であれば、それが痛みの原因のひとつであることは間違いありません。
筒と腕との空隙がクッションの代わりになり、打突の衝撃を和らげるためです。密着していればダイレクトに竹刀の威力が伝わるため、痛みを感じてしまいます。
目安としては腕と筒との間に指2本分ほどの隙間をつくりましょう。小手の紐を緩めて、スニーカーを足に合わせるのと同じ要領で調節します。
紐が余ったら安全のため、垂れないように短くまとめるか編み込んでおくのも忘れないようにしましょう。
打たせるときには決して「退かない」
用具面での問題ではない場合は、打たれる瞬間に無意識に腕を「退いている」可能性があります。
人間の反射として、本能的に打たれることを怖がって退いてしまうというのは自然なことです。
しかし、このわずかな「退き」によって相手の竹刀が速度と威力を増し、より深く小手を捉えることによって痛みを感じるということが考えられます。
元立ちとして小手を打たせるときには、思い切って大きく剣先を開き、むしろ腕を前に出すような心持ちで受けてみましょう。
最初は怖いかもしれませんが、その方が相手にとっても打ちやすく、こちらも痛くないことに気がつくでしょう。
「小手抜き面」の練習で、「打たれないコツ」を身につける
稽古の最中に集中して小手を打たれるため、常に小手部分に痛みを感じているという人もいます。
そんな場合は「小手抜き面」の練習によって、どうすれば打たれないかという呼吸を身につけるという方法があります。
小手抜き面は相手が小手を打ってくる瞬間、腕を振り上げてその攻撃をかわし、そのまま面を打つというものですが、手元に竹刀を引いてしまうと必ず打たれるというリスクがあります。
したがって、やや前に突き出すようにして腕を振り上げる動作が必要となり、これによって小手を打たれる怖さを克服していくという効果を期待できます。
慣れるに従って徐々に小手への隙が改善されていき、打たれる頻度が少なくなっていく実感とともに痛みも解消されていくはずです。
小手サポーターをつける
あまりにも痛い場合には無理は禁物です。
小手のサポーターには手の甲から守ってくれるものと手首の部分だけを守るものの2つがあります。
こちらが、手の甲からガードしてくれる小手サポーターです。こちらの写真の小手サポーターは「ほんとに痛くなかったです!!」という声が、今まであざができて痛くてたまらなかった人からあがっており、評価も高いようですのでお勧めの1つです。
こちらが手首を守ってくれる小手サポーターです。
痛い箇所によって使い分けるといいと思います。
ただ、小手サポーターを使う場合には注意点もあります。
サポーターをつけるとなるとその分、手には厚みができますから小手のサイズが合わなくなってしまうという人がいるということです。
前述のとおり、小手のサイズ調整すれば問題ない場合もありますが、それでもきつくなってしまうケースはあるようですので、その点はご注意ください。
打ち方が上達すれば痛くない
小手打ちの痛さは、もちろん受ける側だけの問題ではありません。
打つ側も力任せに打ったのでは、ただ痛いだけで一本とはなりにくい拙い技になってしまいます。
手の内のよく利いたいわゆる「冴えた」打ちとは、軽快で乾いた音がしてしかも衝撃だけを伝えるため、不思議なほど痛くはないものです。
また、力任せの打突は即座に二の太刀・三の太刀へとつなげにくく、「死んだ打ち」となりやすいため戒められています。
手首のスナップをやわらかく、手の内を十分に働かせて打つ練習を積むことが肝要です。
まとめ
小手の痛みは、上記のように「道具の問題」と「動作の問題」の二つに大きく分けられます。
すぐにできることから取り掛かり、練習が必要なものは工夫をこらしながら回数を重ねることで徐々に身につけましょう。
ただし、強い痛みがあるときは無理をするのではなく、サポーターを着用したり指導者の先生に相談するなどして、段階的に改善できるような工夫を優先しましょう。
面が痛い場合にはこちらをご覧ください。
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