剣道の引き技、5つの崩しポイントと引き面、引き小手、引き胴の動画

剣道の引き技、5つの崩しポイントと引き面、引き小手、引き胴の動画

剣道の引き技、5つの崩しポイントと引き面、引き小手、引き胴の動画

剣道ではお互いに間合いをとった状態から試合が始まり、攻防が行なわれます。

しかし、状況によってはゼロ距離にまで密着した状態になることがあります。「鍔迫り合い(つばぜりあい)」ですね。

真剣であればお互いに非常に危険な間合いとなるため、現代剣道でも正しい攻め合いを行うべきとされています。

この密着した状態からですとそのままでは当然ながら攻撃は仕掛けられませんが、鍔迫り合いから一瞬引いたときに攻撃を仕掛けることは可能です。

それが「引き技」になるわけですが、引き技は通常の相中段同様に攻め合いが重要となります。

タイミングなどもうまくやらないとなかなか決まりませんので、ここでは、そんな引き技について解説します。

剣道における引き技とは

引き技というのは文字通り、多くは鍔迫り合いの状態からスッと体を後ろに移動させて、引きながら打ち込む技のことです。

面・右小手・左右胴と幅広い有効打突部位があり、緊張感をもって鍔迫り合いを行うべき具体的な要素ともなっています。

以下に、引き技のバリエーション、ここでは引き面、引き小手、引き胴ごとにどう打ったらいいのか? をお伝えします。

引き面の打ち方と崩しポイント

後退しながら面を打つ技を「引き面」といい、鍔迫り合いか間合いが押し詰まった状態から繰り出します。

鍔迫り合いから技を仕掛ける場合には、まずその状態での攻め合いについて理解しておく必要があります。

相中段では剣先同士で中心を取り合いますが、鍔迫り合いでは接近した間合いでお互いの鍔元を合わせて、竹刀は斜めに立てる形となります。

この状態からお互いに中心を取り合い、崩すには次の5つの方向への圧迫があります。

引き面の際に有効な「5つの押す方向」

鍔迫り合いから相手を崩して引き面を決めるにあたって、どう崩せばいいのか? そのヒントになるのが次の5つです。

  1. 真っ直ぐ押す
  2. 左斜めに押す
  3. 右斜めに押す
  4. 相手の竹刀を押し上げる
  5. 相手の竹刀を押し下げる

これらの崩し方によって相手の反応を見て、それぞれに最適な部位を捉えることが引き技を成功させるポイントとなります。

引き面で例えると、1のように真っ直ぐ押して、その反動で自身も急速に後退しながら面を打つ

あるいは、2, 3の要領で左右どちらかに圧迫して、相手が反発してくるところを抜くように面を打つというパターンが考えられます。

また、4の方法で相手の竹刀を押し上げると、胴を警戒して反射的に押し下げ返してくることがあるため、裏をかいて面を打つというパターンもあります。

いずれにせよ、チャンスにおいては瞬間的に崩しを行い、後退しつつも打ち込みそのものは「前に出る」ような心づもりで行うことが肝要です。

引き面の動画

こちらは引き面が決まった瞬間の動画です。


引き小手を打つポイントと打つチャンス

攻め方や崩し方は前項の引き面と同様ですが、小手を狙った場合には「引き小手」になります。

この場合は右小手が有効打突部位となるため、自身にとって左斜め前の方向に圧力をかけて、反発してきたところを抜きながら小手を打つという方法が一般的です。

また、先程の4の方法(相手の竹刀を押し上げる)の要領で、胴をかばって手元を下げた場合も小手を打つチャンスとなります。

引き小手の動画

こちらは引き小手が決まった瞬間の動画です。


引き胴で有効な崩し方と

鍔迫り合いでは両脇を締めた状態が基本となるため、そのまま胴に打ち込むことは用意ではありません。

そこで、「引き面」の項で挙げた5の崩し方(相手の竹刀を押し下げる)が有効となります。

一瞬強く相手の手元を押し下げて、面を打たれることを警戒した相手が反射的に頭上をかばおうと手元を上げた隙に、がら空きになった胴を打つというものです。

それが「引き胴」と呼ばれる技です。右胴と逆胴の両方について使うことができます

木刀による剣道基本技稽古法の引き技がヒントになる

「木刀による剣道基本技稽古法」の四本目に「引き技」として採用されているのが引き胴です。

相手の手元を押し下げて反発してくるところを抜いて胴に打ち込む手順がよく整理されています。

引き胴の動画

こちらは引き胴が決まった瞬間の試合を撮影した動画です。


まとめ

引き技では特に、自身が打てる間合いは相手にとっても打ち込める間合いですから不用意な技の発動は、みすみす自身を危険にさらすことにもなりかねません。

打ち込みが不完全であれば相手に追撃されて一本を決められることもあるため、引き技を行う場合には素早く後ろに下がって安全な間合いを確保することも忘れてはいけません。

また、鍔迫り合いは本来とても危険な間合いであるにも関わらず、ついつい惰性的に密着しては申し合わせたようにお互い距離をとる、という試合運びが少なくありません。

よく言われることかとは思いますが、鍔迫り合いは呼吸を整えたり、体力を回復させたりするために使えるものではありません。

それをよく理解し、しっかりと鍔迫り合いでの攻め合いを行うことが重要です。

緊張感をもった状態だからこそこちらの崩しが有効に働くため、漫然と鍔迫り合いを行うことはくれぐれもやめましょう。

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